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■ 日本の年金改革 2006/01/05

 前回は米国の年金改革の話をしましたが、日本の公的年金もたいへんです。まず、日本の公的年金の問題の深刻さは バランスシートが約600兆円も債務超過になっていることです。これは、これまでに国民が払った年金の保険料に対応する給付の約束の金額に対して、 財源の手当てのない借金にあたるものです。この原因は、本来支払うべき保険料よりも少ない金額しか国が集めてこなかったからです。今までの政治家達が国民の人気を取るために 「年金の給付は大きく、負担は小さく」というゴマカシを続けた結果なのです。これからの国民は、将来の自分たちの年金のための保険料を払う他に、 この過去の支払い約束分600兆円も負担しなければならないのです。一人当たり500万円、4人世帯では2000万円の負担です。国や地方の借金が合計で900兆円といわれていますが、 それとは別の借金なのです。
 それでも、足元で年金の保険料は29兆円、医療保険料は18兆円で、2005年度予算ベースでの所得税13兆円、法人税12兆円、消費税10兆円と比べて巨額になっているのです。 ある程度、保険料も引き上げないとつじつまが合いませんが、一方で給付の抑制だけでも追いつきません。抜本的な年金改革が急がれる所以です。 1975年には労働力人口(20から64歳)が約6800万人、65歳以上人口が約900万人で、7.7人の働き手が一人のお年寄りを支える仕組みでした。 2000年にはこの数字が約7900万人対2200万人で、3.6人で一人を支えていました。政府の人口推計では2025年には6700万人対3500万人で、 何と1.9人の働き手が一人のお年寄りを支えることになるのです。
 私は全国民が対象となっている基礎年金(自営業者の国民年金の部分)を全額税金でまかなうべきだと考えます。今、国民年金の保険料は約1万3千円で、 40年間毎月きちんと保険料を納めても年金は月に6万7千円しかもらえません。  65歳の生活保護者単身世帯で最低生活費7万2370円に住宅補助の3万5千円を足すと月に約10万7千円もらえます。これではまじめに保険料を納める気にならないでしょう。 実際にも半分以上の自営業の方が国民年金の保険料を払っていません。すでに、保険制度としては破綻をしているのです。
 したがって、基礎年金の部分は生活保護とのバランスを考えた上で、税金でまかなう方が合理的で公平です。今でも、基礎年金の税金での負担は2分の1ですか  ら、 残りの2分の1を消費税でまかなえば、薄く広い負担をお願いすることで対応可能です。全額税金でまかなえば、お金持ちには払わなくてよくなりますし、 消費税ならお年寄りにも負担していただけますから、保険料でまかなう場合よりも若者の負担が軽くなります。
 その上で、年金の一元化や報酬に比例する2階部分の年金を積み立て方式に移行するのかどうかなども検討しなければなりません。年金の一元化に関して、 厚生年金と公務員の共済年金の一元化は20年前に閣議決定によって実施が決まっています。20年間もほったらかしにしていた政府の責任は重いので、今から実施するのは当然です。一方で、サラリーマンも自営業者も基礎年金の他に、報酬比例部分についても同じような制度にするという意味での一元化のアイデアもあります。
 スウェーデンでは問題なく実施されていますので、日本でも不可能なことはないでしょうが、税務当局による所得捕捉の水準を比較したときに、 今すぐにスウェーデンのような制度が実施できるかという問題があります。去の約束した年金の支払い債務を一挙に新規国債の発行で片付け、 各人の年金は積み立て方式(いわゆる確定拠出方式)に移行するというアイデアも理論的には問題はないのですが、現実的かというと疑問が残ります。
 ただし、これらの問題もたいへん重要なことがらなので、情報公開の下で、一日も早く議論を行うことが政治の責任であると確信します。

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